農業の世界へ飛び込んだ兼業農家 林大輔さんの挑戦

兼業農家林さん素敵な人特集

農業に取り組むきっかけは本当にさまざま。鉄工所の4代目が全く縁もゆかりもない状態で飛び込むのは、生半可な覚悟ではなかったはず。
農業の価値をもっと伝えたいと、奮闘する林さんにお話を伺いました。

「瓦職人」と「米農家」—ゼロからの挑戦

「農業って、誰にでもできるものじゃない。でも、誰かがやらなきゃ、土地は荒れていく」
そうお話されたのは、大田市で米や大豆の栽培に取り組む、林大輔さん。
実は、4代目として伝統的な石州瓦(かわら)のメンテナンス・改造を行う鉄工所の職人でもあります。
高齢化に伴う耕作放棄地の増加を逆にビジネスチャンスと捉え、覚悟を決めて5年前から農業を兼業しておられます。

とはいえ当時の農業経験はゼロ。
トラクターに乗ったこともなければ、草刈りもしたことがありません。
しかし、周囲からの反対を押し切り、一気に5町(約5ヘクタール)の田んぼを引き継ぎました。
地元の農家やつながりを通じて少しずつノウハウを吸収していきましたが、農業を始めた当初は、毎日が「ストレスと地獄」だったと林さん。
しかも始めた年は、米価が過去最低水準という厳しい状況でしたが、現在は米3.5町、WCS(飼料用稲)3.5町、さらに大豆の栽培にも取り組んでいます。

農道を歩くところ

成長中の稲

体験する「リアルな農業」で食育活動

林さんは地域の保育園と連携し、親子での田植え体験や稲刈り体験を行っており、保護者の方々からも好評を得ています。
夏の炎天下での草刈りは、子どもたちにとってもインパクトが大きく、「お米って大変なんだ…」と実感する貴重な経験になっているそうです。
田植えをした場所はショッピングセンターのすぐ横。可愛らしい立て札が立っています。
参加した園児と保護者さんのなかには、買い物のたびに見に来られる方もいらっしゃるそう。
「この経験を通じて、“食べるってありがたいことなんだ”って思ってもらえたら。」
収穫したお米をそのまま“新米パーティー”で提供するなど、体験と食育を組み合わせた取り組みも好評です。
さらに、米粉を使ったチュロスなど、加工品の開発にも取り組み中。
保育園の夏祭りに出店するなど、「米の可能性をもっと知ってほしい」と活動の幅を広げています。

稲の前にある保育園の看板

田植え中の親子

「誰が作ったか」が伝わる直販スタイルの魅力

「農業は大変そう」「地味な仕事」長く定着していたそんなイメージは、少しずつ変わりつつあります。
InstagramやYouTubeを使って農作業の様子や農産物の魅力を発信することで、そのイメージを覆す若手農家たちが、今注目を集めているのです。
魅せ方、伝え方、関わり方を変えることで、農業はもっと身近に、もっと面白くなる。これからの時代の農業は、「かっこよさ」と「つながり」で進化していくのかもしれません。
そして、農業において、味や品質以上に重要なのが“誰が作ったか”という信頼関係。
直販を通じて消費者と直接やりとりができることで、ファンがつきやすくなり、安定した収入にもつながっています。
SNS発信などで“農家の顔が見える農業”を展開していくスタイルが、今後ますます主流になっていくでしょう。

取材を終えて

林さんの米作りは農薬や化学肥料をなるべく減らし、「美味しまね島根認証」も取得されています。
農業に従事して5年、自然と向き合いながら試行錯誤を繰り返し、今もなお学びの途中です。

林さんのInstagramの投稿には普段の作業、子どもたちと一緒に田植えをする様子なども投稿されています。
異業種から飛び込んだ林さんの姿は、「農業は特別な人だけのものじゃない」というメッセージを私たちに投げかけています。

兼業農家ハヤシライスについて

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