大田市立第一中学校(大田一中)で、今年で5回目となる「職業講話」が開催されました。 もともとは感染症の影響で職場体験が困難になったことから始まったこの試みですが、その教育的価値の高さから、職場体験が再開された今もなお、同校の伝統行事として受け継がれています。
今回は、1年生を対象に行われた熱気あふれる授業の様子と、取材を通じて見えてきた「地域で子どもを育てる」ことの意味をレポートします。

3年間で描く「未来予想図」
大田一中では、3年間を見通したキャリア教育のテーマが明確に設定されています。
今回の職業講話は、その出発点となる大切なステップ。中学生が「働く」という未知の世界に対し、最初の扉を開く瞬間です。
12業種のプロが集結!少人数対話で見える仕事の舞台裏
体育館や銃剣道場には、市内12の事業所から集まった、まさに「地域のプロフェッショナル」たちが顔を揃えました。
【参加業種の例】 畜産、建築、土木、小売、IT、インフラ、保育、消防、環境、農業、医療、飲食、警察など

10人前後の少人数グループに分かれた生徒たちが、各ブースを回ります。講師の方々は、自身の仕事への想いややりがいを語り、生徒たちは真剣な表情でメモを取ります。

鋭い質問が飛び交う「質問タイム」
15分の講話の後は、5分間の質疑応答。 「この仕事を選んだきっかけは?」「休みの日はどう過ごしていますか?」「仕事で一番気をつけていることは?」 中には講師が思わず唸るような鋭い質問もありましたが、一つひとつに丁寧に答える大人の姿が、生徒たちの緊張を「学び」へと変えていきました。
講師たちの「原点回帰」:教える側が得る気づき
この職業講話の興味深い点は、生徒だけでなく講師側にも大きなプラスの影響を与えていることです。
振り返りの時間では、講師の方々からこんな声が聞かれました。

「4回同じ話をすることで、自分の仕事について改めて深く考える『原点回帰』の時間になった」 「事前に原稿を作る中で、自分の仕事のプライドを再確認できた」
中には、自分の子どもが同校に在籍しており、保護者の立場としてこの取り組みに感謝しながら参加している方も。地域の大人が自分の仕事に誇りを持って語る姿は、子どもたちにとって何よりの教材となります。

「何もない」のではなく「知らない」だけ
長く同じ場所に住んでいると、つい「ここには何もない」という言葉を口にしてしまいがちです。しかし、今回の取材を通して強く感じたのは、「何もないのではなく、知る機会がなかっただけ」だということです。
地域の人と関わり、多様な働き方を知ることは、生徒たちの世界を広げ、将来の選択肢を増やすことにつながります。
「ちょっと緊張したけど、自分の将来に生かしていきたい」と語ってくれた生徒の笑顔が、この授業の成功を物語っていました。
地域全体で育む、子どもたちの未来
担当の先生は「プロの話は生徒の心に残り、生活にも還元されていく。来年にもつなげていきたい」と話し、コーディネーターの方も「来年も、という言葉がありがたい」と身を引き締めておられました。
実体験を伴う「職場体験」と、多様な価値観に触れる「職業講話」。 この両輪があるからこそ、大田一中の子どもたちは自分たちの「未来予想図」をより鮮やかに描けるのではないでしょうか。
大田市立 第一中学校


