島根県の邇摩高校で毎年開催される「邇摩高フェア」。
2025年のテーマは “幸紫想笑(こうしそうしょう)”。
「地域を絆で結んで幸福を招こう」という想いがこめられています。
邇摩高フェアとは?
邇摩高校が毎年企画・運営する大規模イベントで、地元住民や企業を巻き込みながら「学びの成果」を発信する場です。大根やシクラメンなど農産物やジャムやパンなど加工品の販売、お子様向けのワークショップやゲームコーナーにグルメ広場と盛りだくさんのイベントです。
今年は「9号線から校舎まで続く紫の幟」が来場者をお出迎え。
晴れた空によく映えます。ちょうど男子生徒が先生と一緒に楽しそうに立てているところでした。皆さんにたくさん来てほしいという思いで作られたそうです。
生徒が“社長”に!? 独自の会社組織で準備

「邇摩高フェア2025」の企画・運営を担うのは、なんと生徒たち自身!白のお揃いのブルゾンを身につけ、駐車場係から受付、幟の設置まで、全て生徒が主体となって行います。フェアの準備は今年度に入ってすぐ始まりました。食品を扱う事から、食中毒やアレルギーの対策も徹底。おもてなし講座も開催されました。
社長の指示のもと、週に一度のミーティングを重ね、この盛大なイベントに向けて着々と準備を進めてきたそうです。目標はなんと来場者1500人!その熱意は、緻密に準備されたチラシからもひしひしと伝わってきました。
3年生の来間さんが“社長”に就任。彼女はフェアへの想いをこう語ってくれました。
「私たちの日頃の学びの成果を発揮する場となっています。運営するのも恒例で、取引先との交渉なども生徒自身。農業系列も手作りのものを取り扱い、ビジネス系列も地元の商品を取り寄せて販売しています。案内図や下級生への指示など昨年からの課題点もあったので、解決するのが大変でした。」
まさに実践的な高校生ビジネスを経験していることがわかりますね。

フェア開始!

この日はフェア開催を祝うような青空。オープン前から地元の方々が続々と来場し、校内は早くも活気に包まれます。


もともと邇摩高フェアは地元の方にもすっかりお馴染みで、野菜や花、加工品、味噌や焼肉のタレなど人気の商品を目当てに多くの人が訪れます。

花や野菜などが販売されている農業実習室前には、オープン前から100人を超す長蛇の列!10人ずつの入場制限を設けて対応していました。シクラメンは格安で評価も高いため一度にたくさん買われる方も。1時間後に見に行くとかなり商品も減っていましたが、買い物に訪れる人は絶える様子はありません。
校内を歩いているとカメラを持った生徒が歩いていました。
写真部が記録用の撮影を担当。来場者へのアンケートはパソコンを持つ生徒が実施し、今後の運営改善へとつなげる狙いです。

石見神楽部による白熱の舞
ステージ前に席が設けられ、石見神楽の上演もありました。
体育館にお囃子が鳴り響き、お子様や買い物客も足を止めてたくさんの人が見ていました。

伝統を受け継ぐ邇摩高校の生徒たち。明るく看板を持って宣伝する生徒もいれば黙々とレジで会計をする人。それぞれの企画も工夫が感じられます。

学生の学びと地域のつながり
3年生教室では「食とこども系列」の野菜を使ったスイーツ、子ども向けの「にまっこひろば」、「みらいビジネス系列」の飲食エリアなどもにぎわい、食物モデルの展示を通じて学習成果が伝わりました。

地域とのつながりを強く意識した運営で、準備段階から地元の祭りに裏方として参加する経験を通じ、地域の支えの大きさを実感したと伺いました。
日頃の授業や部活の指導、今回の出店にも地元の事業所が多く参加していて地域に根差した学校であることふんだんに感じました。
出雲養護学校高等部との交流
邇摩高校の敷地内には、出雲養護学校高等部の分教室があります。普段から隣接する教室で共に学び、体育祭や文化祭といった学校行事も一緒に参加するなど、生徒同士の交流が盛んに行われています。
今回の邇摩高フェアでも、分教室の生徒たちが日頃練習を重ねてきた太鼓の演奏を披露。さらに、心を込めて作った焼き菓子や手芸品を販売していました。邇摩高校には福祉を学ぶ系列もありますが、こうした日々の交流こそが、生徒たちに共生社会への理解を深めさせる、何よりも大切な福祉教育だと感じました。
駐車場について
フェア当日はキッチンカーが入ったりするので、学校の駐車場は関係者のみ。
一般の駐車場は、農作業棟の後ろと球場です。一方通行になっている箇所もあるので気を付けて下さい。
でも、生徒さんが交通整理をがんばっているので安心です。
取材を終えて
多くの来場者でオープン前からにぎわっていた校内。販売されている商品や様々な企画。先生方や地域の人たちの協力があったとはいえ、生徒自身の自信となったのではないかと感じました。毎年の伝統を次に繋いでいこうという取り組みを見て頼もしく思ったのは発掘スタッフだけではないと思います。これからの活躍が楽しみです!
島根県立邇摩高等学校について

島根県立邇摩高等学校
住所:島根県大田市仁摩町仁万907番地

