世界を動かしたパワースポット【世界遺産 石見銀山】の最大級の坑道跡 大久保間歩ツアーを完全ガイド

大久保間歩一般公開限定ツアー取材

世界遺産として知られる石見銀山の中でも、特に規模が大きい坑道跡「大久保間歩」を見学できる一般公開限定ツアーに潜入しました。石見銀山の歴史を肌で感じられる貴重な体験を、予約方法から見どころ、注意点まで詳しくご紹介します。

大久保間歩ツアーとは

大久保間歩一般公開限定ツアー

石見銀山には複数の坑道が残っていますが、一般公開されているのは「龍源寺間歩」と「大久保間歩」の2つです。
大久保間歩は、1000か所以上残る間歩の中でも最大級。坑内には「福石場」と呼ばれる巨大空間があり、高さ約20m、奥行き約30m、横幅約15mの規模を誇ります。

江戸時代の手掘りと明治時代の機械掘りの様子を同時に見られる貴重な遺構です。世界遺産登録後、全長約900mの中の一部がガイド付き限定ツアーとして公開されています。
このツアーを体験できるのは、毎年3月から11月まで、金・土・日・祝日・GW・お盆期間に実施。1日4回、所要約2時間、各回20名限定です。

私たちが参加した金曜日の4便目で参加者は7名でした。
世界遺産センターの展示スペースで、石見銀山の歴史や地理をジオラマで確認。
専用バスに乗車してスタート地点へ進みます。バス内ではガイドの木村さんによる国内世界遺産クイズで盛り上がりました🙂

スタート地点の原田駐車場で下車します。もうすでに山の中。
遠くの山の頂上付近には岩盤が露出しているところが見えます。
銀の採掘はまず地上に出ているところから始まったんだとか。ガイドさんの話を聞きながら、約90mの高低差を含む約1500mの登山道を歩きます。

澄んだ空気の中、緑のトンネルのように枝が交差する光景にうっとり、紅葉の季節は更にきれいなんだろうなと想像しながら進みます。
前日降った雨のせいか少し滑りやすいかもしれないと言われ慎重に進んでいると、一つ前に出発したグループの声が。「もう少しですよ!」との声に励まされ、頑張って歩きました。最初に渡された竹の杖が大いに役立ちました。
大久保間歩のある本谷地区は明治時代まで採掘が続いたと云われています。間歩という呼び名は江戸時代だけというのが意外でした。

いよいよ大久保間歩に入ります。

大久保間歩一般公開限定ツアー

大久保間歩の入り口に到着!
急にひんやりとした空気に変わります。
ここから先は、カメラ(スマホもOK)しか持ち込めません。
小さな小屋があり、そこで長靴とヘルメットを借り、荷物を預けます。
(貴重品は世界遺産センターのコインロッカーにも預けられます)

入る前に坑道前で記念撮影。
坑道内の地面は水が溜まっており、長靴でバシャバシャしながら進みましたよ。
気温は一年を通して約10℃。この日も山歩き中は半袖でちょうど良かったですが、上着を持参していて正解でした。暖かい服装がポイントです!

ヘッドライトで採掘跡を見ながら進みます。ダイナマイトを使って掘ったところは普通に立って歩けますが、手掘りの箇所はかなり狭く人ひとり通る幅しかありません。
横2尺縦3尺と言われていますが、思ったよりずっと狭いところで採掘をしていたんだなと感じました。あちこちに鉱脈を辿って掘ったあとを見学しました。

今では照明が完備されていますが、坑道の一部では螺灯(らとう)の光だけ・真の暗闇になる貴重な体験も。すべての照明を消すと真の暗闇に。普段の生活では真の暗闇はなかなか無いとのこと。貴重な体験でした。また、螺灯の光だけではかなり暗く感じました。

[大田市のマスコット「らとちゃん」は、石見銀山の間歩を照らす螺灯(らとう)が由来になっていますよ。「らとう」はサザエに油を入れて火を灯す今でいう懐中電灯の様なものでした。]

らとちゃん

コウモリも発見!以外に可愛くて女性もパシャパシャ📷
ここにいるコウモリは、レッドデータブック掲載(絶滅危惧種)の貴重な生物として保護が進められています。12月以降このツアーはお休みとなりますがこのコウモリを守るためでもあるそう。サヒメルの学芸員さんが調査をされているそうです。

大久保間歩一般公開限定ツアー

世界とつながる銀山、そして直木賞受賞作「しろがねの葉」

坑内では、あのタモリさんも興奮していたというトロッコの枕木に使われていた犬釘の話や、熟成のために保管されているドイツパンのヒダカさんのシュトーレンなども遠くから見せてもらいました。

大久保間歩一般公開限定ツアー

犬釘はドイツ製とのこと。石見銀山で銀の採掘をしていた時代にドイツから輸入…すごいことですよね。その数ももちろん莫大だったことが伺えます。
世界の銀の1/3を占めるほど産出していた日本。そのほとんどが石見銀山だったと言われています。。
その採掘のためにトロッコのレールが敷かれ、また銀を輸出するための港も整備されていたのですよね。石見銀山とその歴史、そして世界にまでガイドさんの話は及びます。

大久保間歩一般公開限定ツアー

またある場面では、直木賞を受賞した「しろがねの葉」を思い出しました。「しろがねの葉は」石見銀山を舞台にした時代小説です。作家の千早茜さんもここを訪れたそうです。もちろんフィクションなのでエピソードを鵜呑みにするわけではありませんが、ストーリーを作るために石見銀山について丁寧に調べられたことが伺えます。ガイドさんとその話をしていると、この本を読んで参加したという方にも声を掛けていただき、また盛り上がりました。私は既に2回読み直しました!

ガイドさんあっての大久保間歩ツアー

大久保間歩や龍源寺間歩と2つの間歩が公開されていますが、中を歩いてみると鉱脈を探し掘り進めた跡が生々しく残っており、当時の様子や歴史を感じられるようしっかり整備されていることにも驚きます。
また、石見銀山では当時の資料が多く残っていないとの事。大久保間歩はその価値を体感できる貴重なスポットになっています。ガイドさんがいるからこそのツアーで、とても興味深いお話を余すことなくたくさん伺いました。本物の坑道を歩きながら、日本の鉱山史と世界遺産の価値を深く理解できる貴重な機会でした。間歩へ向かう途中の自然の美しさも素晴らしかったです。ここには掲載しきれないほどの魅力あるスポットなので、ぜひ一度お訪ねください😊

大久保間歩一般公開限定ツアー

大久保間歩一般公開限定ツアーを検討している方へ

  • 参加には事前予約が必要です。公式のツアーデスクへご連絡ください。
  • 山歩きが可能な服装でご参加ください。坑内は寒く感じるため、上着をお持ちください。
  • ヘルメットと長靴は現地で貸出されます。(長靴のサイズは豊富に準備されています)
  • 坑内へはカメラ・スマートフォン以外の持ち込みは原則禁止です。
  • バス降車地点以外にはトイレがないエリアのため、事前の準備をお忘れなく。

大久保間歩ツアーについて

石見銀山世界遺産センター

■ツアー予約
大久保間歩予約センター
電話:(0854)89-9091
月曜日~木曜日 9:00~17:00
金・土・日・祝日9:00~16:00)
■公式サイト

世界遺産 石見銀山大久保間歩一般公開限定ツアー ㈱石見観光
世界遺産石見銀山大久保間歩一般公開限定ツアーの紹介サイト

■集合場所
石見銀山世界遺産センター
住所:島根県大田市大森町イ1597-3

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